こんにちは!静岡市駿河区新川のセントラル歯科クリニックです。
今回は、歯周病の診断方法がどのように変わったのか、そしてその新しい分類についてお話ししたいと思います。「歯周病」という言葉は聞いたことがある方も多いかと思いますが、その診断や治療法がどのように進化しているかをご存知でしょうか?
歯周病は、大人の方にとって非常に身近な病気でありながら、その進行がゆっくりであるため気づきにくいことが多いです。しかし、放っておくと歯を失う原因にもなるため、正確な診断と早期の治療が大切です。
1. 歯周病とは?
まず、歯周病について簡単にご説明します。歯周病は、歯を支える組織(歯周組織)が細菌によって感染し、炎症を起こす病気です。初期段階では歯肉炎と呼ばれ、主に歯肉が赤く腫れて出血しやすくなります。適切なケアをしないと、炎症が進行し、歯を支える骨が破壊される「歯周炎」へと進行します。この状態になると、歯がぐらぐらしたり、最終的には抜け落ちることもあります。
2. 旧分類と新分類の違い
以前は、歯周病は比較的シンプルに分類されていました。例えば、歯肉の炎症だけがある場合は「歯肉炎」、骨が失われている場合は「歯周炎」といった具合です。しかし、これでは病気の進行具合やリスクを十分に反映できない場合がありました。
そこで、2017年に歯周病の新しい分類が発表されました。この新分類では、より詳細に歯周病を分類することで、患者さん一人ひとりに合った治療が可能になりました。
3. 新分類のポイント
新しい分類では、歯周病を「ステージ」と「グレード」という2つの軸で評価します。
- ステージ(Stage):これは、歯周病がどの程度進行しているかを示します。ステージ1からステージ4まであり、ステージ1は軽度、ステージ4は重度を表します。これは、骨がどれだけ失われているかや、歯の動揺(ぐらつき)がどの程度あるかによって決まります。
- グレード(Grade):歯周病がどれくらいの速さで進行するか、また将来的にどのようなリスクがあるかを示します。グレードAは進行が遅い状態、グレードBは中程度の進行、グレードCは急速に進行する状態です。また、喫煙や糖尿病などのリスク要因がある場合、このグレードが高くなることがあります。
これにより、同じステージの歯周病でも、進行の速さやリスクに応じた治療が行えるようになりました。
4. 新分類がもたらすメリット
新しい分類による診断の精度が上がることで、以下のようなメリットがあります。
- 個別化された治療: 以前は一律的な治療が行われることが多かったのですが、今では患者さん一人ひとりの状況に合わせた治療が可能です。例えば、進行が遅い方には定期的なクリーニングが中心となりますが、進行が早い方にはより積極的な治療が必要です。
- 予後の予測がしやすい: 新分類では、今後の進行予測がより正確になります。これにより、患者さん自身が自分の歯周病の状態を理解しやすくなり、治療へのモチベーションも高まるでしょう。
- 全身疾患との関連性を考慮: 歯周病は、糖尿病や心臓病など全身の健康にも影響を与えることが知られています。新しい分類では、これらの関連性を考慮して、総合的な健康管理が行えるようになっています。
5. まとめ:歯周病を正しく理解して予防・治療を
歯周病の新しい分類は、より個別化された治療と正確な診断を可能にしました。これにより、歯を失うリスクを減らし、健康な歯と歯茎を長く維持することが期待できます。
もし歯茎が腫れていたり、歯がぐらぐらするような症状がある場合は、早めに歯科医院を受診してください。適切な診断と治療を受けることで、歯周病の進行を抑え、健康な口腔環境を保つことができます。
また、定期的な歯科検診や日々の口腔ケアが、歯周病の予防には欠かせません。これからも、皆さんが自分の歯と歯茎を大切にし、健康な生活を送れるよう、私たちもサポートさせていただきます。