こんにちは!静岡市駿河区新川のセントラル歯科クリニックです。
歯がグラグラする…」「もうこの歯は抜くしかないのかな…」
歯科医院でそう言われた経験はありませんか?
歯を失ってしまうと、食事や会話に不便を感じるだけでなく、見た目の印象も大きく変わってしまいます。
入れ歯やブリッジ、インプラントなど、失った歯を補う方法はいくつかありますが、実は、「自分の歯」を移植するという選択肢があることをご存知でしょうか?
今回は、あまり聞き慣れないかもしれない「自家歯牙移植」について、詳しく解説していきます。
「歯を抜くしかない」と診断された方も、ぜひこの記事を読んで、治療の選択肢を広げてみてください。
自家歯牙移植とは?
自家歯牙移植とは、その名の通り、自分の歯を、別の場所へ移植する治療法です。
具体的には、親知らずなど、本来は使われていない歯(移植歯)を、虫歯や歯周病などで失ってしまった歯の場所に移植します。
自分の歯を使うため、拒絶反応のリスクが低く、天然の歯に近い感覚で噛むことができるという大きなメリットがあります。
なぜ自家歯牙移植が可能なの?
「歯を移植する」と聞くと、なんだか大掛かりな手術のように感じるかもしれません。
しかし、歯は骨と結合する特殊な組織を持っているため、適切な処置を行えば、移植先でも再び骨と結合して機能を取り戻すことができるのです。
この歯と骨の結合能力を最大限に活かした治療法が、自家歯牙移植なのです。
どんな歯が移植できる?
自家歯牙移植に使われる主な歯は、以下の通りです。
- 親知らず(智歯):
- 最も一般的な移植歯です。
- 特に、まっすぐ生えていて、根の形が良い親知らずは移植に適しています。
- 抜歯予定の親知らずを有効活用できるというメリットもあります。
- 過剰歯:
- 通常よりも多く生えてくる歯のことです。
- 通常、生えてこない場所や形をしていることが多いため、抜歯されることが多いですが、移植歯として利用できる場合があります。
- 埋伏歯:
- 歯茎の中に埋まっていて生えてこない歯のことです。
- 移植に適した状態であれば、移植歯として活用できます。
これらの歯は、一般的に「使われていない歯」または「抜歯予定の歯」であることがほとんどです。
そのため、移植に使うことで、ご自身の歯を有効活用できるというメリットもあります。
自家歯牙移植のメリット
自家歯牙移植には、他の治療法にはない多くのメリットがあります。
- 拒絶反応のリスクが低い
- 自分の歯を使うため、血液型などを気にすることなく、拒絶反応のリスクを最小限に抑えることができます。
- アレルギー体質の方でも、比較的安心して治療を受けることができます。
- 天然の歯に近い感覚で噛める
- 移植した歯は、ご自身の歯の根と骨が結合して支えられるため、入れ歯やインプラントに比べて、天然の歯に近い感覚で噛むことができます。
- 違和感が少なく、食事や会話をより快適に行うことができます。
- 周囲の歯や骨への負担が少ない
- 入れ歯のように周囲の歯にバネをかけたり、ブリッジのように両隣の歯を削ったりする必要がありません。
- インプラントのように、骨を削ったり、人工物を埋め込む必要もありません。
- そのため、他の歯や骨への負担を最小限に抑えられます。
- 治療費を抑えられる可能性がある
- インプラントと比較して、治療費を抑えられる場合があります。
- 特に、親知らずなどの抜歯予定の歯を利用する場合は、抜歯費用を移植治療に充てることができるため、より経済的です。
- 歯を抜いた後の骨の吸収を防ぐ
- 歯を失ったまま放置すると、骨は次第に吸収されてしまいます。
- 自家歯牙移植は、歯を抜いた場所にすぐに歯を移植するため、骨の吸収を防ぐことができます。
- 将来的にインプラント治療が必要になった際にも、骨の状態が良いと有利になります。
- 成長期の子供にも適用できる
- 成長期の子供は、顎の成長が完了していないため、インプラント治療が難しい場合があります。
- 自家歯牙移植は、成長期の子供でも適用できる場合があります。
- 特に、永久歯を早期に失ってしまった場合、成長を妨げないように、自家歯牙移植が有効な手段となることがあります。
自家歯牙移植のデメリット
多くのメリットがある自家歯牙移植ですが、デメリットや注意点も存在します。
- 移植できる歯の条件がある
- 移植歯には、歯の根の形や大きさに適性があり、すべての方が自家歯牙移植を受けられるわけではありません。
- 虫歯や歯周病が進行している歯は、移植に適さない場合があります。
- 事前に歯科医師による詳しい検査が必要です。
- 治療期間が長くなる場合がある
- 移植した歯が骨と結合するまでには、数ヶ月程度の時間が必要です。
- 治療期間中は、定期的な経過観察が必要になります。
- 治療後に再治療が必要になる場合がある
- 移植した歯が完全に定着するまでには、様々な要因が影響します。
- 場合によっては、神経の治療や根の治療が必要になることがあります。
- また、移植した歯がうまく定着しなかった場合は、再移植が必要になる場合もあります。
- 高度な技術が必要
- 自家歯牙移植は、高度な技術と知識が必要となる治療法です。
- そのため、治療を受けられる歯科医院は限られています。
- 治療を受ける際は、自家歯牙移植の実績が豊富な歯科医師を選ぶことが重要です。
- 移植歯の歯根吸収のリスク
- 移植した歯の根っこが、周囲の組織に吸収されてしまうことがあります(歯根吸収)。
- 歯根吸収が進むと、移植した歯がグラグラしてしまい、再治療が必要になることがあります。
- 移植後の経過観察が非常に重要になります。
自家歯牙移植の流れ
自家歯牙移植は、以下の流れで進められます。
- 精密検査
- レントゲンやCT撮影などを行い、移植歯の状態や移植先の骨の状態を詳しく調べます。
- 移植歯の抜歯
- 移植する歯を丁寧に抜歯します。
- 移植先の準備
- 移植先の歯を抜いた穴を整え、移植歯を収める準備をします。
- 移植
- 移植先に丁寧に移植します。
- 固定
- 移植した歯が動かないように、周りの歯と固定します。
- 経過観察
- 移植した歯が骨と結合するまで、定期的に経過観察を行います。
- 必要に応じて、神経の治療や根の治療を行います。
- 固定を外した後も、定期検診を受けて、歯の状態を維持します。
費用について
自家歯牙移植は、保険診療で受けることができることがあります。
ただし、移植先の状態や治療内容によっては、保険適用外となる場合もあります。
また、治療費は歯科医院によって異なるため、事前に確認することが大切です。
最後に
自家歯牙移植は、失ってしまった歯を「自分の歯」で取り戻せる、非常に有効な治療法です。
しかし、全ての方に適応できる治療法ではありません。
「歯を抜くしかない」と診断された場合でも、諦める前に、一度、歯科医師に自家歯牙移植について相談してみることをおすすめします。
当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせて、最適な治療法をご提案させていただきます。
お気軽にご相談ください。